モリスの言葉・『意義ある労働と無意味な労苦』から…つづき

世界の作業場たるイギリスの生産品を考えてみてほしい。まともな人間なら望みもしないような品々が、われわれの無意味な労苦によって大量に作り出され、販売されている。労働者が使う粗悪品と、金持ちのためのまがいものの贅沢品が。
すべての人間は能力に応じて働き、自分の消費するものは自分で生産しなければならない。各人が自分の暮らしのために働けるかぎり働くべきだし、その暮らしは保証されるべきだ。そうすれば真の社会の基礎がついに築かれたことになる。誰も他人の便宜のために苦しめられることはない。いや、誰一人として、社会の都合で苦しめられることもない。
社会主義者のなかには、労働者が生産物を完璧に獲得でき、休息時間もたっぷり取れるなら、それで十分だという人もいるだろう。それでもわたしはさらに、労働が生活の楽しみの一部になることを求めたい。
民衆の芸術が存在していたときは、人間が作ったものにはすべて装飾があった。とても自然に、まったく意識なしに飾りを加えるので、どこまでが実用的な仕事でどこからが装飾かを見分けるのがむつかしいほどだ。この芸術の起源は、労働者が労働に変化が欲しいと思ったことにある。この美自体、世界への偉大な贈り物だ。でもさらに大事なのは、労働者が労働のなかで変化と喜びを獲得したことだ。これによって、すべての労働に喜びという刻印が押されたのだ。だがこれらは文明社会の労働からは消え失せてしまった。
おそらく、われわれ自身は生きているあいだにこの闘いの結末を見ることはないだろう。だが、平和を一心に目的として据え、見失わないようにすれば、心に映った未来の平和は、混迷と悩みに満ちた人生を照らしてくれることだろう。

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